帝国データバンクの集計によると、2025年に発生した上場企業の倒産は12月29日16時30分時点で東証グロース上場のオルツ1社にとどまりました。上場企業倒産が年間1社となるのは2022~2025年で4年連続で、コロナ禍以降の2020年から数えて6社目に当たります。オルツは7月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請し、確定再生債権額は約16億636万円です。
上場企業倒産の長期推移では、リーマン・ショックが起きた2008年に33社と過去最多を記録しました。その後は景気局面の改善に加え、私的整理など再建手段の広がりも背景に、足元は低水準で推移しています。
一方、近年の倒産は不正や法令違反を契機とする例が断続的にみられます。2020年のNuts、2022年のテラ、2023年のプロルート丸光に続き、2025年はオルツが循環取引による売上水増しをめぐる問題で経営が急速に悪化しました。循環取引とは、取引を往復させて売上を見かけ上増やす手口です。オルツは2025年4月に売上過大計上の疑義を理由に第三者委員会を設置し決算発表を延期、7月には第三者委員会が2024年12月期までの4期分で売上高の最大9割が過大計上と認定しました。帝国データバンクは、開示情報だけでなく定性情報も含めた情報収集の重要性を指摘しており、今後は上場審査や監視の実効性、企業側の内部統制強化が問われそうです。
